宇宙刑事以降のメタルヒーローは雑多なヒーロー像が作り出され続けました。
宇宙刑事と同じ宇宙からの使者の他、人造人間、忍者等々。
今の平成ライダーシリーズのような感じですね。
○巨獣特捜ジャスピオン
東映が円谷特撮は怪獣ありきで生きているというコンセプトから作られた作品。
等身大オンリーだった東映の大規模な巨大特撮が見れるという貴重な作品でもある。
「巨獣特捜」という御名は伊達ではなく、巨大感や見応えはかなりのもの。
前年に放映されたバイオマンでは等身大怪人は登場せず、巨大怪人ばかり登場していたが、おそらくはこの作品のプロトタイプだったのかもしれない。
ストーリーは単純明快、悪の権化であるサタンゴースを倒すために、地球にジャスピオンがやってくきたというもの。
キャラクターの方は味方側は大して特筆するものでもないが、悪の側にも親子の情などが垣間見えるようになったことには進歩が感じられる。
マッドギャランは父サタンゴースの後を継ぐ為日夜努力(悪行)を重ねているし、純粋悪とさえいえるサタンゴースも息子が殺された時には激昂していた。
敵が単なる悪ではなく知性ある存在というファクターは、メタルダー、ジライヤ、特警シリーズ、そして時を経た平成ライダーシリーズで大きく花開くこととなる
ちなみに今作のテレビでちらっとコンバトラーVが出ている。
○時空戦士スピルバン
初期のメタルヒーロー最後の作品と言ってもいいだろう。
まず良い点は、キャラクター、演出、特撮など。
主人公とヒロインの二人は敵組織ワーラー帝国に母星を滅ぼされた(実は語弊のある表現だが)遺児であり、地球を同じ悲劇に見舞われないよう守ると決心する。第1話の期待感も十分高まる。必殺技「レーザーインパルス」の際には滅ぼされた母星、両親のことを回想し
「俺の怒りは爆発寸前!」と叫び、一気にツインブレードを二振りする。こうやって書いてもシュールでわからないだろうが、実際演じる渡洋史氏の声も相まってかなりカッコいい。
ワーラー帝国も一風変わった組織で綺麗な「水」をエネルギーとして生きている。
メンバーも物腰の柔らかい優しそうな(ていうか実際優しい面しか見なかった気がする)オバサンである女王パンドラから、自分の子供二人を天秤にかけさせられ苦悩するスピルバンの父であるドクターバイオ、かませ犬デスゼロウ将軍など、個性がしっかりしている。
悪い点はストーリー展開。
ドクターバイオのキャラがストーリー作りしやすかったのか、彼や子供たちであるスピルバン、ヘレンに関するストーリーが多い割りに進展がないのでテンポが悪くなっている。また後半はコメディ展開が多くなり、最終回にいたっては「猿の惑星」だった…まあ割と好きだからいいか。
ちなみにスターウォーズのダースモールはツインブレードのパクリと言われてる。この意見には賛成する。ロボコップはギャバン、プレデターは副官ブーバのオマージュだし、逆輸入されてないと誰が否定できるだろうか。
○超人機メタルダー
前々回のレビューにあるからそっちを見てね。
○世界忍者戦ジライヤ
バブルがはじけたのか、前作や前前作と比べて低予算臭がする。
しかし、動きやすいスーツのおかげで、アクションはより磨きがかかっている。
ストーリーも格段に良くなっており、各国の忍者と競い闘い、認め合い友情を結ぶという、友情・努力・勝利をモットーとした少年漫画のようなお話作りとなっている。伏線の回収も見事だ。
キャラクターも前作と同じく大きく変わった。主人公は「さわやかお兄さん」系から「熱血少年」系へとシフトした。闘破を演じる筒井巧氏の演技もあってかなり好印象。劇中では口先だけの義理の妹と弟の面倒を見つつ、家事もしながら(料理も洗濯も家計簿もすべて闘破一人)、忍者としてパコを守っていた
かなりの苦労人。
敵陣営もより個性的になり、雑魚怪人と呼べるものは存在しない(メタルダーもそうだが)。
毒斎率いる妖魔一族や宇宙忍をのぞけば、劇中戦う多くの忍者たちは第三軍扱い、いわばライバルであり、のちに友情を結びと仲間となるものたちがほとんど(その多くは最初は毒斎に騙されてるパターンだが)。たとえどちらが負けても、鍛えて強くなり再び刃を交える。だから一人ひとりのキャラクターは濃密になっている。
最終回の展開も必見だ。第一話では毒斎に相手にすらされなかった闘破が「磁光真空剣」なしの己の実力だけで毒斎と戦うのである。正直メタルヒーローの中でも屈指の最終回だろう。
総評として東映特撮、少年漫画の良さが詰まった隠れた名作と言っても過言ではない。
磁雷矢以外のチープすぎる忍者デザインや偏見ぽい世界観はこの際置いておこう。見て損はしません。Gガンダムが好きな人なら外れではないでしょう(ていうかパクられたか?)